ありがとうございました!

皆様、長らく『Will you marry me?』にお付き合いくださり、ありがとうございました。

韓国版花男のジフ先輩を幸せにしたい一心で書き綴った物語。

楽しんで頂けたら、幸いです。

読んでくださる方の中には、

「え?ここで終わり?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、この物語は、ドラマのワンシーンを加工して作った挿絵を入れるため、これより先のお話につけられる画像がありません。

婚約期間、結婚後、子沢山な彼らを皆様の想像力で妄想していただけると嬉しいです!

それでは、また!

ジフ先輩、永遠なれ!

ゆるりより愛を込めて

Will you marry me?54完結(ジフ×ジャンディ)

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宴もたけなわ。
壇上の二人に再びスポットライトが当たり、各々が感謝の意を述べた。
二人揃って頭をさげると、大きな歓声があがり、ジャンディも手が痛くなるほどの拍手を送った。
場内に静けさが戻ると、突然、パッとジャンディ達のテーブルにライトが当てられる。
「本日は、もう一つ喜ばしい事があります。新郎の幼馴染であり大親友のユン・ジフさんと、新婦が妹の様に大切に思うクム・ジャンディさんの婚約が整いましたことをここで発表させて頂きます」
一人だけ、このサプライズを知らなかったジャンディ は、固まったまま動かない。
「ジャンディ、ほら、立って」
ジフに体を支えられ、やっと立ち上がると、慌てて頭を下げた。
「ジャンディ、おめでとう」
ジェギョンの母、ハ夫人が駆け寄り、頬にキスをした。
「あ、ありがとうございます」
イジョンとウビンも立ち上がり、ジフと固い握手を交わしている。
壇上から駆け下りてきたジェギョンが、ジャンディに抱き付くと、二人してオイオイ泣き始めた。
このなんとも幼く可愛らしい新婦とフィアンセに、ジュンピョとジフの優しい微笑みが向けられ、その様子は、全国ネットで韓国中に流された。
次々とお祝いを述べに来る財団の重鎮とも、ハグをするジャンディ。
普段渋顔の彼らが、まるで孫を抱きしめる様に愛しげな眼差しになるのを、国民は驚きと共に見守った。
そして、もっとも皆を驚かせたのは、別テーブルでコメントを求められたカン・ヒスの言葉だ。
「我がク財閥は、クム・ジャンディさんがユン家の家族である限り、どの様な支援も惜しまぬことをここに誓います」
鉄の女、カン・ヒスは、この時笑っていた。
こうして、ごく普通の家から生まれたシンデレラガールは、すべての少女達の憧れとなり、夢となった。


「なんで、こうなるの・・・」
ジャンディは、豪華すぎる部屋の隅っこで、体育座りをしていた。
ジュンピョとジェギョンは、既に屋上ヘリポートから脱出をしている。
記者達は、ターゲットをジフとジャンディに定め、包囲網を張っているらしい。
外に出る事も叶わず、いた仕方なく、披露宴が行われたホテルの最上階に監禁されていた。
「ジャンディ、次、どうぞ」
先にシャワーを浴びたジフが、当たり前のようにバスローブ姿で出てきた。
「ひゃっ!」
「何、驚いてるの?」
「な、な、な、な、なんでもない」
ジャンディは、極力ジフを見ない様にバスルームに走り込んだ。
「こんなの無理だよ。まだ、心の準備が」
床に座り込み、ジャンディは、再び体育座りで、額を膝に当てて大きく溜息をついた。


さて、この後どうなったのか?
それは、神のみぞ知る。
ただ、ジャンディが、浜辺で片膝をついたジフから、母の形見である指輪を貰ったのはこれから数年後のこと。
「Will you marry me?」
頷くジャンディを力強く抱きしめたジフ。
そんな彼らのお話は、また、別の機会に。

Fin
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Will you marry me?53(ジフ×ジャンディ)

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四月上旬、ク・ジュンピョ、ハ・ジェギョンと言う、この国を代表する大企業の後継達の披露宴は、報道陣の数も半端ないものだった。
玄関へと真っ直ぐ伸びる赤絨毯の上を歩く事は、企業家にとってはこの上ない宣伝効果を持っている。
フラッシュが眩いくらいにたかれ、写される側も、満面の笑みを浮かべていた。
そこに、全長8.55メートルのホワイトリムジンが横付けされた。
ドアが開き、降りてきた貴公子に、歓声がひときわ上がる。
文化財団次期当主ユン・ジフ。
襟元にファーのついた真っ白なロングコート。
立ち姿も見目麗しく、女性陣のため息が漏れる。
続いておりたのは、元大統領、ユン・ソギョン。
黒の燕尾服をパリッと着こなし、普段の白衣姿からは想像出来ない威厳を備えていた。
その二人が差し伸べたそれぞれの手に、白くて可愛い手が乗った。
「よいしょ」
慣れない動きで出てきたのは、この春、無事に高校を卒業し、数日後には大学生になるクム・ジャンディ。
両脇をナイトに守られながら、レッドカーペットを進む。
「なんか、眩しい」
「ジャンディ、笑いなさい」
「お爺様もね」
「二人だけで盛り上がらない。俺も入れて」
楽しげに微笑み合いながら歩く姿に、フラッシュが一斉にたかれる。
その後ろから、同じリムジンに同乗していたイジョンとカウルも続く。
そして、最後に、ウビンが金髪の美女を連れて降りてきた。
来年韓国で上映されるハリウッド映画の主人公らしい。
それぞれに観客たちの視線を集めながら会場入りすると、既に沢山の有名人が各テーブルに座り歓談を楽しんでいた。
七人は、誘導されたテーブルに座り、披露宴の開始を待つ。
その間にも、何人もの人が、このテーブルを訪れ、ソギョンに挨拶をした。
「閣下、先日は、大変楽しませて頂きました」
先陣を切って現れたのは、財団の重鎮。
ジャンディにも柔らかな視線を送り、
「今日も、美しい。早くジフ君のお嫁さんになるのが楽しみだよ」
とあいさつをした。
ソギョンの根回しのお陰で、既にジャンディは、ジフのフィアンセとして受け入れられていた。
元々の彼女の愛らしさが、小難しい重鎮達をも魅了したということだろう。
ざわついていた会場が、徐々に静けさを取り戻し、照明も落とされ、辺りが暗闇へと変わった。
「皆様、お待たせいたしました。本日主役の登場です」
司会者の紹介と共に、壇上にスポットライトが当たり、ジュンピョとジェギョンが映し出される。
キラキラと輝く微笑みに、皆が暖かい拍手を送った。
この時、ジャンディは、まだ、気づいていなかった。
この披露宴に隠されたサプライズに。
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Will you marry me?52(ジフ×ジャンディ)

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ジフとジャンディは、大学まで自転車で五分のマンションに来ていた。
個室が二部屋に居間とキッチン。
バスとトイレは辛うじて別だが、勿論広くは無い。
必要最小限の間取りに、ジャンディは満足している。
ジフにとれば、こんなに小さな家に住むのは生まれて初めてだ。
望めば、新築の売り物件も手に入れられるのに、多くを望まない恋人。
その事が逆に嬉しくて、即決で契約を交わした。
「荷物は、少しずつ運びこもう」
「うん。先ずは、勉強机とベッドが欲しいね」
新婚のような甘酸っぱい空気に、自然とジフの頬も緩む。
「ご近所さんにも挨拶しないと」
ウキウキと段取りを考えるジャンディを、ジフは腕の中に捉える。
「少しは、俺にもかまってよ」
甘えるように囁けば、ジャンディは、焦ったようにジタバタしだした。
「逃げないの」
壁と自分の間にジャンディを挟み込み、ジフは、ゆっくりとキスを堪能した。
唇に甘噛みを繰り返し、おずおずと開かれる隙間に舌を差し入れる。
幾つキスを重ねても、全く慣れないジャンディが、可愛くて、可愛くて、つい意地悪をしてしまう。
「鼻で呼吸して」
息を止めてしまう彼女に、何度言った言葉だろう。
足が、ガクガクとなり、ズルズルと壁を背に座り込み始めるジャンディを、追うようにジフも腰を下ろす。
ペタリと床に座り込み、固く閉じた目尻から薄っすらと溢れる涙。
苦しいだけじゃなく、脳味噌まで蕩けさせる官能が、ジャンディの体を熱くする。
「早く、ジャンディが欲しい」
やっと解放され、耳にそう囁かれれば、羞恥に身を丸くするのが精一杯。
「卒業式が楽しみだな」
それまで、少しずつ、少しずつ、ジャンディの花を開かせていく。
ジフの楽しみは、尽きることがない。
壁に背をつき、二人で陽だまりに足を伸ばした。
「カーテンも買わないとね」
「帰りに買って帰ろうか」
「やった!」
たわいもない話が、心地良くて眠りを誘う。
「ジャンディ」
「なに?」
「ちょっと、肩貸して」
「ん・・・いぃよ」
コテンとジャンディの肩に、ジフの小さな頭が乗る。
「おやすみ、ジフ先輩」
もう、返事は無かった。
すやすやすやすや。
彼の寝息が、ジャンディの瞼も重くしていった。
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Will you marry me?51(ジフ×ジャンディ)

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「ただいま!」
「おかえり」
家に帰ると、ジフの祖父ソギョンと、ジャンディの家族が勢揃いしていた。
「おめでとう!」
先に、電話連絡をしていたこともあり、テーブルの上は、ジャンディの母コンジュお手製の料理が所狭しと並べられている。
お昼から、お酒も出て、ジェギョンと弟のガンサン以外は、皆ほろ酔い気分だ。
「次は、婚約ですな」
イルボンは、祝杯を挙げ、ソギョンと乾杯をしている。
そんな父の楽しげな様子に、ジャンディも、そっと涙を拭った。
様々な苦難を、家族皆で乗り越えてきた。
漁村での奮闘もジフから聞き、ジャンディの胸は熱くなった。
「日取りの話だが、やはり、高校の卒業を待ってからの方が良いな」
ソギョンの言葉に、ジフは、ガッカリとした表情を浮かべた。
「今すぐにでは、駄目ですか?」
「何事も、順序と言うものがある。お前とジャンディの婚約は、二人だけのものでは無い」
気のはやるジフをソギョンは、たしなめる。
「ジャンディを思うなら、きちんと手筈を整え、誰からも祝福される婚約にしなくては。さぁ、忙しくなるぞ」
ソギョンの頭の中では、ユン家で押さえなければならない重鎮の顔が数人浮かんでいた。
のちのち、ジフが財団を引き継いだ後も、後援となってくれる大物達だ。
他にも、旧知の友人達に根回しし、政財界からもこの婚約を後押ししてもらう必要があった。
しかし、ジフの気持ちも分かる。
待ち焦がれたジャンディの合格。
耐えさすばかりでは、可哀想というものだ。
「お前達も、忙しくなるぞ。先ずは、大学の側に部屋を探さんとな」
「え?」
「ここからも通えるが、やはり通学の時間は短い方が勉学に集中出来るというものだ」
思わぬソギョンの言葉に、ジフは、目を大きく見開く。
「でも・・・それでは・・・」
ジフは、イルボン達を見た。
いくら婚約者と言え、結婚する前の男女が一つ屋根の下と言うのは、両親としては心配なはず。
しかし、イルボンもコンジュも、ニコニコと笑い、頷いている。
「私らは、坊ちゃんを信じていますから。こんなじゃじゃ馬、貰い手は貴方くらいなもんでしょう」
「お父さん!」
ジャンディは、真っ赤になって叫んだ。
「あ、あ、ありがとうございます」
ジフは、深々と頭を下げた。
ジャンディは、慌てて一緒に頭を下げ、そして、バッと顔を上げた。
「お爺様も一緒に!」
「馬鹿かお前は。今だってワシは、居心地が悪くてたまらんというのに」 
ジフから溢れ出るジャンディへの愛が、身内であるソギョンには、微笑ましいが照れくさい。
「ま、長期休暇の時は顔を出せ。ワシだって、ついこの前まで一人暮らしだったんだ。たまには、ゆっくり過ごしたい」
ソギョンの言葉に、何処からともなく笑いが生まれた。
ソギョンが、長年叶わないと思っていた、明るく、楽しい、家族の団欒の姿がここにあった。
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Will you marry me?50(ジフ×ジャンディ)

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大学合格発表の日。
ジャンディとジフは、掲示板の前に立っていた。
「276、276、276・・・」
自分の番号を唱えながら、合格発表者の一覧を見ている。
しかし、275の後は、283。
自分の番号が無い。
「うそ・・・」
頭が真っ白になるジャンディは、震える体を抱きしめて立ち尽くした。
どこか、遠くで、自分を呼ぶ声が聞こえるが、体が動かない。
「ジャンディ!」
「あ・・・ジフ先輩」
「探したぞ!」
「先輩、私、落ちちゃった」
未だ現実が受け入れられず、ジャンディは、表情を無くしてしまった。
カクンと膝を折ると、地面に座り込んでしまう。
「あはっ・・・頑張ったのになぁ」
涙さえ流せず、愕然とするジャンディを、ジフは、無理矢理立たせた。
そして、無言でズンズンと別の掲示板に引っ張っていく。
「ジ、ジフ先輩?」
「まったく、いったい何処に目をつけてるんだ」
「な、なに?」
「ほら、ここ!」
ジフの指差した先には、別個に数人の合格者がデカデカと張り出されていた。

合格者上位5名。
在学中の学費を免除する。
クム・ジャンディ

声の出ないジャンディを、ジフが背後からしっかりと抱きしめる。
「よく、頑張った。これからは、一緒に大学に通おう」
ジャンディは、コクコクと頷き、モソモソと向きを変えると、ジフの胸に収まった。
「ジフ先輩、大好き」
「それ、俺の忍耐試してる?」
「え?」
見上げれば、ジフの甘い微笑み。
毛糸の帽子越しに額へのキスをされて、ジャンディは、再びジフの胸に顔を押し付ける。
「これじゃ、ちゃんとキスも出来ない」
「そ、外じゃ駄目」
耳まで赤くして、一杯一杯のジャンディは、その行為自体がジフを煽っていると気づいていない。
ジフは、ジャンディの耳たぶをつまみながら、囁いた。
「じゃ、帰ろう。俺達の家に」
電流の流れるような刺激に、ピクリとジャンディの肩が上がった。
恥ずかしさで、ジフの顔さえ見られない。
そんなジャンディの恥じらいは、男心を震わせる。
彼女の肩を抱き、周りを見回せば、ジャンディの初々しく、溢れ出る愛らしさが、男達の目を引いていた。
別の視点から見れば、ジフのジャンディへ注がれる愛が、周りの女達の目を釘付けにしていた。
「さ、行くよ」
ジフは、少し早足になる自分を自覚しながらも、ジャンディを抱えるように車に向かった。
こんな可愛い彼女を他の男に見せるのは、耐えられなかった。
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Will you marry me?49(ジフ×ジャンディ)

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ソウルに帰ると、状況が一変していた。
漁村に居たはずの両親と弟が、昔営んでいたクリーニング屋で、前と変わらず営業をしていた。
「どうなってるの!!」
驚きで、ジャンディは、強い口調で両親に詰め寄った。
「まさか、ジフ先輩やお爺様にご迷惑かけたんじゃないよね!」
親の借金の為に、彼らの力を借りることをジャンディは嫌がっていた。
それは、対等で、自然な付き合いが出来なくなってしまうから。
「違う、違うよ、ジャンディ」
父イルボンは、必死に否定する。
「俺にも良く分からないんだか、突然状況が好転してな」
カン・ヒスからの妨害で、何処からも店舗を借りられなくなっていたはず。
それが突然電話があり、家賃を格安にするから帰ってこないかと言われたという。
「そんな出来すぎた話」
「俺だってそう思ったさ。しかし、帰ってきたら、本当に何から何まで昔のままだったんだ」
魔法にでもかかったような、活気ある店内。
常連さん達も、既に沢山の洗濯物を持ち込んでくれてるらしい。
「罪滅ぼし・・・・もしくは、命を救ったお礼かな」
ジフに言われ、ジャンディも腑に落ちる。
「あぁ・・・なるほど」
素直ではないカン・ヒスの、最大限の詫びなのだろう。
「でな・・・お前の部屋も、あるにはあるんだが・・・・どうする?」
イルボンは、片眉を上げながらジャンディに聞いた。
「えっと、私は・・・」
すぐに答えられないジャンディは、縋るようにジフを見た。
しかし、ジフは、ジャンディを見ずに、イルボンと目配せし、
フフフフフフフ
と二人で意味ありげに笑いだす。
「え?え?何?」
頭の中が疑問符だらけのジャンディ。
その手を、ジフがサッと掴むと、
「お義父さん、ジャンディは、俺が頂いていきます」
と優しく微笑んだ。
「はははははは、良い返事を貰ったんですか?」
「いえ、なかなか手ごわくて、婚約は、大学に受かってからじゃないとやらないの一点張りです」
「だから言ったでしょう。一筋縄ではいかないって」
ジフとイルボンの様子から、この二人が、自分の知らないところで繋がっていたことをジャンディは、やっと知ることになる。
「酷い!二人して!」
ジャンディは、ジフの手を振り払うと、一人でドンドン歩いて行ってしまった。
「ほら、坊ちゃん、追わないと。ヘソを曲げると面倒ですよ」
既に尻に敷かれ気味の未来の娘婿を、イルボンは、なんとも言えない楽しい気分でからかった。
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Will you marry me?48(ジフ×ジャンディ)

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真っ白なチャペル。
淡いピンクの膝上丈のドレスを着た花の女神が、バージンロードを花弁で清める。
父親と腕を組み、シンプルなデザインの純白のドレスを着たジェギョンが、神妙な面持ちでまっすぐ歩いていく。
その先には、愛するジュンピョ。
参列者達は、親族と気心の知れた者達だけ。
新婚旅行後に、ソウルでは、双方の会社関係者を集めた披露宴行われるが、今日こそが、正真正銘、二人を永遠に結びつける儀式。
初々しい花嫁に、皆の優しい視線が向けられる。
あの鉄の女さえ、薄っすらと瞳に涙をたたえていた。
ジャンディは、二人の結婚指輪を乗せた台を両手でしっかりと前に持ち、祭壇側に控えている。
カウルは、ジュンピョの前まで来ると、軽く頭を下げ、花弁の入った籠を小脇に抱えて、イジョンの隣りの席に移動した。
流れるパイプオルガンの音色、波の音が、ゆったりと教会内に共鳴する。
神父の宣誓に、
「「誓います」」
と答える二人。
指輪の交換の為に、ジャンディが二人の側に静かに歩み寄った。
「ありがとう」
ジェギョンの小さな声がジャンディに聞こえ、二人は微笑み合う。
何もかもが、幸せに満ち溢れていた。
しかし、その時、後ろのドア近くに立っていたスタッフが、突然走り出した。
「カン・ヒス!」
血走った目をした男は、キラリと光るナイフを持っている。
悲鳴をあげる間もなく、カン・ヒスに煌めく閃光が降り下ろされようとした。
「だめーーー!」
男に体当たりしたのは、ジャンディだった。
床に倒れこみ、二人でナイフを奪い合っている。
「ジャンディ!」
ジフは、乱入者の腕を足で踏みつけると、ナイフをもぎ取り、遠くに投げた。
一足遅れて駆けつけた警備員達に、犯人は取り押さえられ、チャペルから引きずり出されていく。
「カン・ヒス!これで終わったと思うな!俺は、お前に会社も家族も奪われた。一生お前をつけ狙ってやる!一生だぞ!寝ても覚めても、怯え続ければいい!」
死刑宣告のような叫びに、カン・ヒスは、顔色を無くし、その場に座り込んだ。
「ジャンディ、大丈夫か?」
「うん」
ジフが抱きしめたジャンディの体は、ガタガタと震え、冷たくなっていた。
「ジャンディ、血が!」
カウルが、ハンカチでジャンディの右の二の腕を押さえた。
深くはないが、滲み出る血が、折角のドレスを汚していた。
「あなた・・・なんで私を助けたの」
カン・ヒスは、今まで、散々コケにして貶めた娘が、身を呈して自分を守ったことに驚きを隠せない。
「別に、貴女じゃなくても、同じ事をしました。それに・・・今、貴女に何かあったら、ジェギョンが泣くから」
人生で一度きりの愛する人との結婚式。
その日に、義母であるカン・ヒスが死ねば、ジェギョンは、自分が許せず、ジュンピョと別れる事になっていただろう。
「馬鹿・・・貴女に何かあっても、私は耐えられなかったわよ」
ジュンピョに抱きしめられながら、ジェギョンは、嗚咽している。
「おい、ババァ」
ジュンピョが、冷ややかな目でカン・ヒスを見下ろした。
「あんたのやり方、俺は引き継がないからな。俺は、俺のやり方で会社をデカくする。口出しすんじゃねーぞ」
カン・ヒスは、呆然と息子を見上げた。
今まで、会社を継ぐこと自体を拒否し続けてきたジュンピョが、強い意志を持って自分に立ち向かってくる。
その頼もしい姿に、カン・ヒスは、敗北と幸福を感じた。
その後、仕切り直された結婚式は終わり、ジュンピョとジェギョンは、プライベートジェットでヨーロッパ周遊旅行に飛び立った。
「じゃ、俺達も帰るか」
イジョンは、カウルの手を握り、出発ゲートに向かって歩き出す。
まだ、その状況に慣れていないカウルは、何度もジャンディを振り返りながら連れ去られて行った。
「やってらんねーなー」
ウビンは、両腕を上に持ち上げ、大きく伸びをすると、
「俺は、親父の顔見てから帰るから。じゃーな」
と空港を出て行った。
「あの、ジフ先輩」
「ん?」
「もう少しだけ、待っててね。ちゃんと合格するから」
ほろ酔い気分でも、記憶のあったジャンディは、頬を赤らめながら、ジフを上目遣いで見上げた。
「ゴクリ」
その愛らしさに自分が生唾を飲みむ音が、やけにジフの耳には大きく聞こえた。
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Will you marry me?47(ジフ×ジャンディ)

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「んぅ・・・」
割れるように頭が痛い。
喉が、水をくれと叫んでいる。
カウルは、鉛のように思い瞼を開けた。
「あ・・・」
目の前に、イジョンの顔があった。
しっかりとカウルの手を握ったまま、ベッドに上半身だけ乗せた状態で、彼は寝息を立てている。
状況が読み込めず、視線部屋に移す。
そこは、ホテルの二人部屋。
ジャンディと自分が明日着る服が、壁に掛けられている。
足のザラついた感覚に、砂浜にいた事を思い出した。
しかし、ジュースを飲んだあたりから、パタリと記憶が途絶えていた。
『美女をはべらしてのどんちゃん騒ぎ』
ウビンの言葉が、小さな破片となって、カウルの胸に突き刺さっている。
目の前の男の、美しい容姿を見ると、どれ程自分が不釣り合いな人間なのか痛切に感じる。
側に居ることさえ切なく、イジョンの手から逃れようと指を動かした。
「逃がさないから」
途端にギュッと握り返され、ゆっくりと開くイジョンの瞳に、自分が映っている。
「逃げようとしただろ」
「い、いえっ・・・」」
彼の真剣な視線が、戸惑うカウルを貫き、身動きさえとれなくさせる。
「あんまり鈍いから、はっきり言うけど、俺、君が好きだから」
「え?」
意味が分からず、フルフルと顔を左右に振るカウルに、イジョンの目つきは益々険しくなる。
「俺も、大概悪い男だ。泣かせ女も数が知れない。それでも・・・君が泣くのは耐えられない」
ベッドサイドで、枕に頬を付けたまま、イジョンは手を伸ばし、カウルの頬に触れる。
涙の跡は乾いていて、もう拭ってやる事は出来ないが、新たに流れ出る涙をすくい取る事はできた。
「ぅ・・・ぅそ」
「嘘なら、もっと上手につくよ」 
もそもそと、カウルのベッドに入り込むと、イジョンは、両腕で彼女を抱きしめた。
イジョンから、女性用の香水の残り香が漂う。
カウルは、彼の胸に手を置き、グイッと押した。
「女の人の匂いがする」
ハッとしたイジョンは、上着とシャツを手早く脱ぐと、素肌のままカウルを再び抱きしめた。
直接感じるイジョンの体温に、カウルに残ったアルコールが、グルグルと回り始める。
「もぅ・・・むぅりぃ・・・」
カクリと力を無くし、カウルは動かなくなった。
「マジ?」
あまりの純情ぶりに、天下のカサノバも手が出せない。
彼女の髪を梳いてやりながら、つむじにキスをした。
体から始まる疑似恋愛しかした事のないイジョンが、たったキス一つで、満たされていく自分に驚いている。
「早く目を覚まして。そして、今度は、ちゃんとキスさせて」
イジョンの震える指先が、カウルの唇をなぞった。
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Will you marry me?46(ジフ×ジャンディ)

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「あぁあ、散々なバチュラーパーティーだったな」
壁にもたれ、ウビンは、この後一人でバーにでも繰り出そうかと思っていた。
そんな彼の前に、ジフが立ち、右の掌を突き出す。
「出せ」
「何を?」
「お前の部屋のカードキー」
「は?」
「早く!」
ジフから、マイナス50度の冷気が漂っている。
「あぁ、ハイハイ」
ポケットから取り出し、ジフに渡すと、逆にジフから別のカードキーを渡された。
「それ、俺の部屋のだから。じゃ」
それだけ言うと、ジフは、フラフラしているジャンディの手を引き、対面にあるイジョンとウビンの部屋に入っていった。
「おいおい」
呆然とするウビン。
その背中を、
「じゃ、そういう事で」
と言いつつ、イジョンがグイグイ押す。
気づけば、廊下へと追い出されていた。
バタン
目の前で閉まったドアに、危うく鼻頭がぶつかりそうだったウビン。
「お前ら!覚えとけよ!」
負け犬の遠吠えが、地上うん十階に木霊する。
しかし、流石に防音設備が万全なホテル。
「うるせーぞ!」
とドアを開けて怒鳴る親父など出てこない。
静まり返った廊下で、ウビンは、
「俺も、本命さがそうかな」
と悲しく独りごちた。


「ジャンディ、ジャンディ」
ジフの呼び掛けにも応えず、ジャンディは、壁にへばりつき、コツンコツンと頭をぶつけている。
「止めなさい」
「だって、ジャンディ、悪い子なんだもん。だから、ジフ先輩、怒ってるんだもん」
先程、カードキーを胸元から取り出したジャンディに驚き、思わず口調が厳しくなったジフ。
だからと言って、怒っているわけじゃない。
「怒ってないから」
ジフは、枕を壁とジャンディのおでこの間に滑り込ませた。
ポフンポフン。
それでも頭を枕に打ち続けるジャンディを無理矢理抱き上げ、そのままベッドに腰をかけた。
膝の上に乗った彼女は、プイッと顔を壁に向け、ジフを見ようともしない。
「怒ってるのは、ジャンディじゃないの?」
抱きしめる腕に力を入れて、ジフは、ジャンディの耳元に囁いた。
「だって」
「だって?」
「婚約、婚約ばっかり言うんだもん」
思わぬ言葉に、ジフは、目丸くする。
「婚約したくないの?」
「違うよ。でも、私、凄く子供で今のままじゃ、先輩のお荷物だもん。だから、せめて大学に合格して、奨学金もらって、胸を張ってジフ先輩の隣りに立ちたいんだもん。それなのに、先輩、婚約、婚約って追い詰めるんだもん」

だもん、だもん、だもん

小さな子供のような語り口調から伝わる、ジャンディの切実な思い。
焦り過ぎた自分を反省し、
「ごめん」
素直に謝って、ジャンディに、
チュッ
短いバードキスを贈った。
ジャンディは、何度か瞬きした後、にっこりと微笑み、
チュッ
ジフに、お返しのバードキスを贈った。
チュッ、チュッ、チュッ、チュッ
繰り返されるキスは、不安に凝り固まっていたジャンディを癒してくれる。
「ジフ先輩、大好き」
ジャンディは、溢れる想いを持て余して、キュッとジフの首元にしがみ付いた。
あっ
バランスを崩したジフは、ジャンディを抱えたまま、背中からベッドに倒れこむ。
ボフッ
「ジャンディ・・・あんまり煽ると、俺だって・・・」
今すぐ食らいついてしまいたい衝動。
せめて、婚約するまではと、我慢をする程に焦りが生まれていたのも事実。
それでも、眠さで目を瞬くジャンディを見れば、内なる野獣を押さえ込んでしまう。
「おやすみ、ジャンディ」
寝息を立て始めたジャンディを確認し、ジフは、ベッドを降りた。
そして、彼女の手を取ると、そっとキスをする。
「早く、この指に、結婚指輪をはめたいよ」
幼い恋人の愛らしい寝顔は、いつまで見ていても飽きなかった。
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